元立教大学文学部教育学科教授の黒澤俊二先生につみきばについてのお話を聞きました。
小学校「算数」における図形を学ぶ上では4つの目標があります。1)基本的な図形の概
念形成、2)論理的思考力の育成、3)空間観念の育成、4)図形の美しさの感得 です。これらの目標は、心身の能力が大きく発達する学童期に学習することで効率よく身につきます。
さらに、その学童期以前の0〜6歳は、心身の能力を発達させる脳が最も活性化する時期で、「学ぶ」ための下地となる「認知が育つ最初期」です。この時期に子どもたちは「考える」よりも先に、積み木を、見て、触って、動かし、聴きながら「感じる」「思う」力を育みます。
この「感じる」「思う」プロセスにより、言語を習得する前に、空間とそこに在る図形を感じ思い、数学的な美しさを感じ思うことが可能になり、その後の図形学習もスムーズになります。「つみきば」はこの「感じる」「思う」プロセスを非常に効果的にサポートする積み木です。
最初に子どもたちは身の回りにある図形を「…のような形」から学びます。自らが「…のような」と感じ思った形を積み木で再現することで、創造性と表現力が、さらにそれらを他者と共有することで言語能力、コミュニケーションと論理的思考力などが、多角的な脳への刺激として遊びながら得られることがこの「つみきば」の大きな魅力です。
楽器演奏が脳の発達に有効であることはよく知られていますが、積み木あそびとまなびは、楽器を学ぶよりもさらにその前の段階で、目と指、そしてときには体全体を使って触れられる貴重な活動です。ブロックのように安定しない積み木だからこそ、この「つみきば」は、思いを深め考えて工夫することで、生まれながらの科学者、芸術家である幼い脳の無限の扉と今後の発達を開き、拓く価値あるトリガーツールなのです。
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